顔の形成
目の形成(二重まぶた)
//はじめに〜まぶたの構造〜//
二重瞼(ふたえまぶた)のしくみを知るためには、まず瞼(まぶた)の構造を知る必要性がありますので、各術式の説明に入る前に少し瞼の解剖を説明します。各術式の説明では、ここで説明した解剖学名を使って説明しますので、聞きなれない名称ばかりですが、イラストと対比しながら読んで下さい。
瞼は右記のイラストのような構造になっています。目を開く行為は主に眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉の働きで行われます。補助的に働くミュラー筋という筋肉もありますが、イラストでは省略してあります。眼瞼挙筋は目玉の奥の骨からはじまり(起始)、目玉の上を通って、最後は挙筋腱膜(きょきんけんまく)という薄い膜になって、瞼板(けんばん)の前面に付着して終わります(停止)。ふくらはぎの筋肉が最後はアキレス腱になって終わるのと同じかんじです。
さて目が開くということは、瞼板が眼腱挙筋に引き上げられることに他なりません。生まれつき二重瞼の人は、瞼の皮膚と瞼板が癒着している(皮膚と瞼板の間に、挙筋腱膜の繊維で構成される索状組織があり、これが両者を結んでいる)ため、目を開くときに皮膚が瞼板と一緒に持ち上げられて、皮膚に折れ込みができるため、二重瞼になるのです。眼瞼挙筋が瞼板を引き上げる力を、糸を介して皮膚に伝えるのが埋没法であり、皮膚と挙筋腱膜(瞼板)の癒着瘢痕によって皮膚に伝えるのが切開法ということになります。またいわゆる腫れぼったい目というのは、眼窩脂肪(がんかしぼう)が多く、眼窩隔膜(がんかかくまく)が、瞼板の前に押し出されている状態です。もちろん皮膚自体が厚い(瞼板前脂肪が多い)という場合もあります。
では以下各術式の説明に入ります。
//埋没法による二重まぶた//

マスコミがプチ整形として紹介している、皮膚の中に糸を1〜3本埋め込めこんで、皮膚と瞼板(けんばん)を癒着させる方法です。腫れが少なく、傷も針穴のみ(やがて消える)ので、すぐに社会復帰できるという点で優れていますが、癖(癒着)が取れて元に戻ってしまうことがあります。
1年以内に戻る場合もあれば、3〜4年たって忘れたころに戻る場合もあります。戻る確率を正確に予測することは出来ません。
一部クリニックがうたうような、絶対取れない埋没法というものは存在しません。それは糸の本数を増やそうと、糸を掛ける位置や結び方に工夫をしようと同じです。
なぜ戻ってしまうのかというと、糸の締め具合は必ず時間とともに緩むもの(糸が眼窩脂肪(がんかしぼう)を通過している場合や瞼板前脂肪が厚い場合は緩みやすい)だからです。
たとえ糸が緩んだとしても、それまでに癒着瘢痕(ゆちゃくはんこん)の癖がついていれば二重瞼を維持できるのですが、癖が付ききらなかった人では戻るということです。医師がどんなに工夫しても戻る人は戻ると理解しなければいけません。
埋没法の二重が戻ることは医学的に重篤なトラブルではありません。戻った時には再受診して医師に相談しましょう。
//全切開法による二重まぶた(上まぶたのたるみ取り)//
瞼(まぶた)の厚ぼったい人、過去に埋没法をやったが戻ってしまった人、年齢的に瞼にたるみのある人では、この方法が適しています。次のような手順になります。
@希望する二重ラインで、目頭〜目尻まで皮膚切開(たるみ取りの場合は皮膚を適量幅だけ切除する)し、眼輪筋(がんりんきん)を含む皮下組織を細長く切除する。
A瞼板(けんばん)前脂肪を切って取り除き、瞼板(挙筋腱膜(きょきんけんまく))を露出させる。その後、挙筋腱膜を上へ手操っていくと眼窩隔膜(がんかかくまく)に達するので、これを横に切開し、眼窩脂肪(がんかしぼう)を控えめに適量押し出して除去する。
B瞼板に糸を掛けながら皮膚縫合していく(まつげ側の皮切縁〜瞼板〜眉毛側の皮切縁)。
なお、より目をパッチリさせるため、まず瞼板を挙筋腱膜の奥の方に癒着し、最後に皮膚縫合する場合もあります。



全切開法の欠点としては、埋没法に比べて腫れの期間が長い(1週間くらい)ことがあげられますが、長い目で考えるとこちらの方がよいと思います。
//脂肪除去+埋没法による二重まぶた//
マイクロカット法、スリムカット法、ミニマムカット法などと命名しているクリニックもあるようですが、所詮埋没法に毛がはえた程度の手術でしかないといえます。
瞼板(けんばん)の前に眼窩脂肪(がんかしぼう)が落ちてきているような厚ぼったい瞼(まぶた)の人、瞼板前脂肪自体が厚い瞼の人では埋没法をやっても、すぐに戻ってしまうことが予想される(糸が脂肪を一緒に締めるので緩みやすい)ため、あらかじめ1mm程度の穴からピンセットで脂肪をつまみ出してこれを除去し、それから埋没法を施すという方法です。
脂肪をつまみ出した穴を、埋没法の糸が通過する穴に利用するので、術後の傷あとは、埋没法と同じく針穴だけで済みます。
しかし、脂肪除去が不完全に終わる可能性があること、たとえ脂肪除去が適切に行われたとしても、所詮埋没法でしかなく、戻る可能性があること、全切開法と同等かそれ以上に腫れやすいことを考えると、これをやるくらいなら全切開法を選択する方が賢明でしょう。
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//部分切開法による二重まぶた//
全切開法で行われる瞼(まぶた)の内部処理を、部分切開の範囲に留めて二重瞼を作る方法です。希望するライン上で、一ヶ所ないし二ヵ所を5mm程度、皮膚切開することになります。
眼輪筋(がんりんきん)を除去する分、上記の脂肪除去+埋没法よりは戻りにくいと思いますが、この方法では皮膚切開した部分がくぼんでしまうので、これをやるくらいなら全切開法を選択する方が賢明だと言えるでしょう。


//眼瞼挙筋(がんけんきょきん)短縮法による二重まぶた//
眼瞼挙筋(がんけんきょきん)の瞼(まぶた)を持ち上げる機能が弱く、まぶたを黒目の上まで上げられない状態を言います。目を見開くため、いつでもおでこにシワを作りながらまゆ毛を上げているので、頭痛や肩こりに悩んでいる人が多いです。
アトピー、花粉症、逆さまつ毛、コンタクト常用などの理由でまぶたをこする機会の多い人では、挙筋腱膜(きょきんけんまく)と瞼板(けんばん)の癒着が外れたり、薄くなったりするため、眼瞼挙筋の引き上げ機能が瞼板に伝わりません。
これが原因でまぶたがあけにくいのを腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)と言い、日常診療で見かける眼瞼下垂はほとんどがこれです。
眼瞼挙筋自身あるいは、眼瞼挙筋を支配する神経に異常がある場合には物が二重に見える(複視)ので、腱膜性眼瞼下垂との鑑別は容易です。
眼瞼挙筋短縮手術は、眼瞼挙筋がまったく動かない場合には意味のない手術になりますので、腱膜性の眼瞼下垂に対して有効です。
挙筋腱膜と眼窩隔膜(がんかかくまく)の合流部は、瞼板上縁より数mm上にあって、白色の線として認められます。ここを切開し、眼窩脂肪(がんかしぼう)を上へよけ、眼瞼挙筋を結膜より剥離(はくり)し、無理なく前方へ引っ張り出せる状態にします(前転)。短縮幅を決めた後、挙筋を一部切除し、断端を瞼板上縁へ癒着固定する。
以上が手術の実際ですが、最近では外れた腱膜を元の瞼板前面に縫着固定する腱膜前転術に変更されつつあるようです。またこの手術をパッチリ目(ビックリ目)目的で希望する人もいます。
